「何ごとだっ!?この深夜に!?」
 誰かが、勢いよく私の部屋の扉を開けた。

「マリア、何をしている……?」
 宗像だった。咄嗟に、腰からサーベルを引き抜こうとするが、宗像の手は動かない。

「く……身体が……!?」

「宗像さん……来ちゃだめ!!」

「人間……今のうちに、教えておいてやろう。」

「なんだ……貴様は!?」
 宗像の目が、ウリエルの姿を捉えて戦慄する。

「いいか、人間。覚えておけ。貴様はまだ未熟で、弱い。この女はオレの力を求めるがゆえに、エクソシストとしては貴様を超える力を持つ。」

「な……!!マリア、お前は……悪魔側の人間なのか?」

 反論しようとした宗像さんはまだ、その場から動くことができない。

「邪魔するなよ。この女は悪魔である、オレと共存しているのだから……無理に、この女からオレを引き離せば……、死ぬぞ。」
 ニタリと哂うウリエルの悪魔の口端。

 残忍な悪魔の笑みが、宗像を試すように、禍々しい空気を残していた。




■3話「雨に濡れた猫のように」


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