「……で、あの……私をここに連れてきた……いえ、連れてきてくださった、宗像さんもこの寮に?」

「ええ、宗像はここのエクソシスト専攻科での、学生隊の隊長を務めています。……さてマリア、寮のあなたの部屋に案内しましょうか。」

「ちょっと待て、水鏡!こんな得体の知れない女を、寮に入れる気か!?」

「宗像、失礼ですよ、彼女はイタリア、バチカンからはるばる、私たちを助けるためにやって来たベテランのエクソシストですよ。紹介状にも、学内に入寮させるよう書いてあります。」

「しかしだな!こんなヒラヒラした服を着た女を、この伝統ある白百合寮に入れるのか!?
きっと近い将来、信仰の敵になる!男を堕落させるのは女だぞ!!」

 部屋の外では、他の男子生徒たちがガヤガヤ騒いでいるのが聞こえる。

「すごい!新しい寮生って女の子じゃん!」

「女?どうせすぐに泣いて、足手まといになるだけだ」

「やっほう!これで女の子の居ない青春にグッバイできるー!!」
 姿は見えないけど、勝手に盛り上がりを見せる廊下側。

 宗像はバタン、と扉をあけて怒鳴った。

「おい、お前ら、うるっさい、散れーーーっ!!」

「うわ、宗像さんが怒った!」
 ……蜘蛛の子を散らすように消える野次馬たち。

「ああ、そうだ、宗像。彼女を部屋に案内してあげてくださいよ。そう、あくまでも、仲良く、ね。」

……………………………………………………


「ほれ、ここだ。今日から好きに使うといい。」
 案内されたのは、2階の一番奥の部屋。お気に入りの赤いチェックのトラベルバッグを引っ張って、私は部屋に入った。
「わあ……」
 ベッドと机だけでいっぱいになるくらい、こじんまりとして、質素かつ清楚な部屋。
 
でも学園内の中庭が見まわせるステキなお部屋だ。

 宗像さんが、少しすまなそうに言った。



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