「マリア、今、お前は弱っている。さっき、直接聖水をかけられたろう?」
 攻撃色を露にするウリエル。

「やめなさい、ウリエル……何かしようとしても、止めるからね。私の新しい学校での生活を滅茶苦茶にしないで!」

「なんだ、急に辺りが暗くなってきた……?」
 宗像は周囲を警戒する。

 ウリエルが、私の封印を破ろうと、空気をざわつかせる。

「この女に、不用意に近づくな……それから、今日のようなことは二度とするな。その時には、貴様の命はないぞ」
 辺りの木々が風もないのに大きく揺れ、木の葉がざわざわと暗闇にささやきにも似た音を零す。

「やめて!」
 私が叫ぶと、ウリエルの気配は綺麗に消えた。

「……おい。お前、一体……何者なんだ?」

「何者って……ただの、転校生だけど。」

「まあ、学園に戻ったら、エフレム神父に相談するか。」

 頭痛を抑えるように、その大男はつぶやくと、私の前に立って歩き出した。

……………………………………………………


「マリアさん、お待ちしていましたよ。」

 聖バルビナ学園につくと、うってかわって優しげな生徒に、声をかけられた。

私は秀麗水鏡(しゅうれいみかがみ)、この学校で学ぶ、若いエクソシストです。よろしくお願いしますね。」

「はい、よろしくお願いします!」
 紹介状は、学校の上の人から、もうこのエクソシスト科にまわっているらしい。

「ウルタド神父の紹介なら安心ですね。せっかくの日本の学校生活、楽しんでくださいね。」

「はいっ!!」

 やっとマトモで笑顔の人に会って、ホッと安心した。



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