.
一応隠してたけど、本当は聖水をかけられれば、私の身体は少し痛む。
なぜかって?
……それは私が、悪魔を連れているから。サムライ男の判断は間違いじゃない。
だから余計に腹がたつ。
「あれ……?道が、ない?」
目の前が行き止まりになっている。
手にした地図に裏切られて、私は目をぱちくりとさせた。
がっくりと肩を落とす。
まだ目的地の学校が近いのか遠いのかもわからない。
「まいったな……おなか、すいたし……」
心ぼそいのに、お腹が、きゅうう、と鳴る。
「あのな、そっちは行き止まりだ。この辺、詳しくないのか?」
背後で男がぼそ、とつぶやく。
さっきの失礼な男だ。
「いいです!交番を探しますからっ!」
まだ、近くに居たんだ……!?
と思うと同時に、この男の世話にはなりたくない私は咄嗟に反対側に駆け出した。
「……貸せ。」
ばっ、と大男が私の手から地図を取り上げる。
「お前、聖バルビナ学園に行きたいのか?」
「知ってるの?」
「ああ、残念ながら、オレはその学園の生徒だからな。オレは、聖バルビナ学園3年、宗像(むなかた)だ。お前は?」
「マリア。2年生よ。」
名前を明かしたところで、その男は少し安堵した。
「マリア……その男から離れろ。」
背後から悪魔の声が聞こえる。
「ウリエル?」
「ああ。オレを置いて他に誰がいる?その男はおそらくエクソシストだ……この状態で、お前に潜む魔の気配を察し、祓おうとした」
「……そうでしょうね。でも、人間に危害を加えたら許さないからね?」
■Next (4/8)