第5話「悪魔に捧げられた少女」

「それにしても、本当に君たちみたいな学生に、悪魔が祓えるのかね?」
 中肉中背のスーツの男性が、私たちに半信半疑の目を向ける。

 この日、私は宗像さんや水鏡さん、そしてエフレム神父と一緒に、悪魔祓いの依頼を受けて、閑静な住宅街にある依頼人の家を訪問していた。

「しかし、一ヶ月も順番を待ったというのに、本当に学生が来るとはね。卒業生や、海外から招聘したエクソシストが派遣されて来るものだとばかり……」

「あらかじめお断りしたはずです。どうか、彼らを信頼して下さいませんか。」

 ため息まじりに悪態をつく依頼人の男性に、エフレム神父は丁重にあいさつした。

 ウルルが、私のカバンから、ぴょこりと顔を出す。

(愚かな。貴様のために、こうして来てやっているのに。まるで腫れ物扱いだな。)

(ちょっと、ウルル……おとなしくしてて!)
 私はウルルをカバンの中に押し戻した。

 依頼人の第一印象は最悪。
 しかも私たちは近所の目を避けるように、玄関ではなく、裏口から通されていた。

 世間から怖がられるのも、変人扱いされるのも慣れてるけど……私もそんなに人間ができてるわけじゃない。

 心の中でこっそりと、イーッと舌を出す。

 私たちは通された奥の客間で、テーブルの上に十字架、聖水、香油、聖書などを並べ、もう一度、最後の祈りを捧げる。

 それから、階段を登り、2階へと案内された。

 実際、学園への悪魔祓いの依頼は、途切れることはなかった。
 それどころか、最近は依頼も増える一方だった。

 悪魔憑きがある限り、悪魔を祓い続けること……それが、エクソシストたちを加護する天使たち、ディーヴァと呼ばれている聖霊との契約だった。

 
必要な時に力を使わなければ、与えられた加護も失われる……私たちが、2階への階段を登りきった、その時。

「あうううああ……ああうあ……」

 つきあたりの部屋から、少女のうめき声が聞こえてくる。そして、

 
それと重なるように、悪魔のような不気味な声が響いた。



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