第7話「卑怯者の思惑」
その晩、私はなかなか眠れなかった。
今日は寮に戻るのが遅くて、夕食を食べられなかったからだろうか。
……いや、やっぱり生まれて初めて、街で夜遊びしたせいだ。
しかも、よく知らない男の子と2人で。
私は寮の個室のベッドに横たわりながら、夜空をぼうっと眺めた。
聖バルビナ教会、深夜25時。辺りは静まりかえり、他のエクソシスト達は皆、深い眠りについている。
(でも、あのジョーカーって男の子、悪魔の気配がしたわ……一体、何者なのかしら?)
皆さっきまで警察に連絡を入れて、私を探していてくれた。
それなのにまさか、その時男の子とお茶してたなんて言えない。
「でも、あの子は普通の悪魔憑きとは違う感じだったわ。私の呪いのことも知ってたし……何故かしら?」
「さあな。だが悪魔と悪魔は引き合うものだ。近いうちにまた会うことになるだろうな。」
私の相棒、ぬいぐるみのウルルも窓の外を見た。
最近、悪魔の気配がいつも漂っている。
その時、誰かが私の部屋をノックした。
「マリア。ちょっと、いいか?」
宗像さんだ。
その後ろに水鏡さんが心配そうに覗き込んでいる。
「宗像!マリアも疲れてるんですよ。今夜はもう遅いんですから、少しはゆっくりさせてあげても……」
水鏡さんは私を庇ってくれているけれど……宗像さんは険しい顔をしている。
「ふん。お前がそうやって過保護にするから、マリアの気が緩むんだ。」
「……そんな!」
「大丈夫です、水鏡さん。私も、もう十分休みましたから。今行きます。」
私は水鏡さんに軽く会釈すると、宗像さんの後について部屋を出た。
バタン。
宗像さんは、スピリタス隊の控え室の扉を強く閉める。
そして一枚の写真を机の上に置いた。
「どういうことなんだ、これは?」
■Next (2/7)