深夜の教会の屋根に、見慣れぬ人影があった。
髪を針のように逆立てた少年。
さっき夜の街で一度顔をあわせた少年だった。
「アンタ……一体、何しにきたの?」
「さっきのあの写真はこのジード様が、バッチリ撮ってやったんだぜ?」
針頭の少年が、ニヤリと笑った。
宗像さんはサーベルを抜いて、その切先を少年に向けた。
「寮の窓ガラスを割ったのはお前か。」
しかし少年は、そのくらいではたじろがない。
「ははは!お前がエクソストのリーダーか。でも、いくら悪魔の気配がしたって、オレは立派な人間だよ。いいのか、人間を斬りつけて?」
私は宗像さんの前に飛び出した。
「宗像さん、下がって!この子には、強い悪魔が憑いてる……危険です!」
しかし、針頭の少年は、ニタリとこちらを見た。
「教えてやんよ。この女はなあ、夜遊びもすれば、裏切りもする、腹黒い女なんだよ。」
「バカなことを!アンタのことなんて、知らないわ!!」
そのとき。屋根の上に、もう一人の人影が現れた。
「やあ、マリア。さっきは楽しかったね?」
「ジョーカー……!?」
私は目を見開いた。
「ごめんね。またキミに会いたくなってさ。すぐに飛んで来たんだ。マリアも僕に会いたかった?」
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