私は小ぶりの雨の中を、裏道を通って寮に戻った。聖水をかけられた部分が、やはり強く痛む。
「……うう……痛い……」
ズキズキとかゆみと痛みに全身を蝕まれ、私は小さくなって歩いた。
それでも、帰る気はなかった。私にはエクソシストとしての仕事や、役目があるもの。
そのためにここにやってきたはずだ。だけど……
「うう……ひっく……」
少し、涙がこぼれた。どうして、こんなに遠くに来ちゃったんだろう。
なつかしい故郷から、こんなにも遠い場所に。
そう思うと、目の前にウリエルの姿があった。
「マリア。お前は、本当に馬鹿な女だな」
「ウリエル……」
「しょせん人間はお前の味方じゃない。傷つくぐらいなら、淡い期待など持つな」
ウリエルの指が、私の頬を伝う涙に触れた。
「いいか、マリア。お前が侮辱されることは、オレが侮辱されることだ。わかるな」
「……う……うん……」
■Next (7/8)