食堂は古く質素だったが、キレイに手入れされていた。
「あの、私の席は?」
「ああ。お前はあの席につけ」
宗像さんはテーブルの一番隅の席を指差す。
皆の席から離れたところに、ぽつねんと、食事の置かれた私の席があった。
(ふうん。皆と同じテーブルの席じゃないのね……)
私はその席につく。今用意されたばかりの食事が、遠慮気味に湯気をあげている。
私のほかには、宗像さんをはじめ4名のエクソシスト候補生と、神父さまが席についていた。
「今日の糧を得られることを、天の恵みに感謝して。今日十分な食事をとれない人にも、天の恵みがありますように……」
皆が手を合わせて、食前の祈りを唱える。私も離れた席で、同じ祈りを唱える。
食器の音だけが、カチャカチャと食堂に響く。
しかし静寂を破って、その中の一人が突然立ち上がった。
「宗像さんのやり方に、オレは賛同できません!」
声の大きな男の子が、怒りを露にした口調で叫んだ。
「キリト。食事中は静かにしろ。」
「嫌ですよ。女の子を一人にするなんて。今日から仲間になるはずなのに……!」
「……………………………」
その問いに、宗像さんは応えない。
「あーもう! やってられないですよ!」
キリトと呼ばれた少年は、怒って食堂を出て行った。
他のメンバーも次々と食事を終えて、食堂を出て行く。
その間、誰も口をきかなかった。
私が最後に食事を終え、席から立ち上がると、水鏡さんが声をかけてきた。
「マリア、ちょっといいですか?」
「ええ、何でしょう?」
「すみませんね。学園の中でも貴方に対する意見が対立しているらしいんです。宗像も難しい立場みたいで……許してあげてくださいね。」
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